結論から: 子どもに日本語を教えるなら、年齢に合った「話す日本語」を毎日10〜20分。幼児は歌とものの名前から、未就学児は絵本と最初のひらがなから、小学生は本物の会話と読書から学びます。Voiczyのような声で学ぶアプリを毎日の軸にして、週に1回以上は本物の日本語の声を加えましょう。親の声でも、ビデオ通話のおばあちゃんでも、週末の日本語学校でもかまいません。

この記事を読んでいる方は、おそらく次の3つのどれかに当てはまるのではないでしょうか。
- 海外で暮らす日本語話者の親で、子どもに日本語を受け継いでほしい
- 日本に引っ越してきた家族で、子どもに学校になじんでほしい
- 子どもが日本のアニメやゲーム、日本人の友だちが大好きで、日本語をきちんと学びたがっている
このガイドは、3つのどの場合にも役立ちます。教え方を変えるべきなのは、始めた理由ではなく、お子さまの年齢です。
始める前に、正直にお伝えしたいことがあります。大人が日本語を難しいと感じるのは、3種類の文字、丁寧な言い方とくだけた言い方、そして英語とは逆の語順があるからです。でも、小さな子どもはそのどれにも気づきません。話し言葉の日本語は、はっきりした少数の音でできていて、子どもは丁寧な言い方もくだけた言い方も、周りの人の話し方を聞きながら自然に身につけます。文字はそのあと、一歩ずつで大丈夫。日本語が難しいのは教科書で学ぶ大人にとってであって、4歳の子どもにとってではありません。
早く始めるほど有利(でも、遅くても大丈夫)
子どもは生まれてからの数年間に、言葉の音をいちばん楽に吸収します。そして小学校のあいだも、ずっと優れた言語の学び手です。3歳で始めるほうが8歳で始めるより楽ですが、その差は親が心配するほど大きくはありません。始める年齢よりはるかに大切なのは続けることです。1日15分を1年続けるほうが、週に1回1時間よりずっと効果があります。
幼児(2〜3歳)に日本語を教えるには
幼児は勉強をしません。身の回りにあるものを、そのまま吸収します。ですから親の役目は、子どもの周りを日本語で満たすことです。
- まずは歌、話すのはそのあと。 「ぞうさん」、「どんぐりころころ」、「かえるのうた」といった童謡は、言葉の意味がわかるずっと前から日本語のリズムを教えてくれます。車の中で、お風呂で、寝る前に流しましょう。繰り返しこそが大事なのです。
- 訳さずに、名前を言う。 犬を指さして「いぬ」や「わんわん」と言いましょう。「これはいぬ、英語でdogのことだよ」と訳す必要はありません。訳すと幼児の吸収は遅くなります。名前を言うことで、脳が探しているつながりができていきます。
- 一人の親、一つの言語。 日本語を話す親が一人だけなら、その親は子どもに日本語だけで話しかけましょう。この年齢では、言葉を混ぜると届くシグナルが弱くなります。
- 短く、何度も。 5分の日本語タイムを3回のほうが、30分を1回よりも効果的です。幼児は長く集中できませんが、1日に10回でも言葉に戻ってくることはできます。
未就学児(3〜5歳)に日本語を教えるには
未就学児はもう少しいろいろなことができますが、まだ遊びの感覚であることが大切です。
- 絵本と、声に出して繰り返すお話。 同じ日本語の絵本を1週間、一緒に読みましょう。3日目には次のページを予想し、5日目には親より先に言葉を口にするようになります。子どもが一文ずつ声に出して繰り返すお話は、まさにこの年齢のためのものです。
- ひらがなは遊びの中で出会う。 最初はひらがなから。基本の46文字で、1文字が1つの音を表します。日本では、多くの子どもが小学校に上がる前の5〜6歳ごろには、ひらがなの多くを読めるようになります。お子さまの名前の文字から始めて、ひらがなカードやお風呂ポスターを使い、ひらがなで書かれたやさしい絵本を読みましょう。カタカナと漢字はあとで十分です。
- タップして合わせるより、声を使う。 文字を読ませたり絵を合わせたりするアプリは、未就学児にはあまり向いていません。耳の準備は、文字を読む力よりずっと早く整うからです。言葉を声に出して言うよう促してくれる音声の先生のほうが、はるかに効果的です。
- レッスンより習慣。 1日に1回、日本語の時間を決めて守りましょう。朝ごはん、幼稚園や保育園までの道、寝る前の読み聞かせ。何をするかより、決まった時間であることが大切です。
- 文の途中で直さない。 子どもが助詞(は、が、を)を間違えたら、レッスンにせずに正しい文で言い直してあげましょう。指摘しなくても、子どもは違いに気づきます。

小学生(5〜10歳)に日本語を教えるには
この年齢になると、少し体系立てた学びが実を結び始めます。
- 読み書きは段階的に。 ひらがな、カタカナ、そして漢字を少しずつ。日本の子どもは小学1年生で約80字の漢字を習います。オーディオブックや読み聞かせを本文と組み合わせて、日本語を耳と目で同時に味わえるようにしましょう。ふりがな(漢字の上の小さなひらがな)つきの本が理想的です。
- 単語リストより会話。 単語リストで育つのは、テストには通っても祖父母とおしゃべりできない子どもです。話せる子に育てるのは、毎日のやりとりのある会話です。相手がAIの会話の先生でもかまいません。
- 敬語は実際の場面で伝える。 お子さまは、親がおばあちゃんのお友だちといとことでは話し方を変えていることに気づくはずです。敬語を文法として教えるのではなく、その場で言葉にしてあげましょう(「お店の人には『ありがとうございます』、お友だちには『ありがとう』って言うよ」)。
- 好きなものを入り口に。 小さい子にはアンパンマンやしまじろうなどの日本のアニメや番組、大きい子にはふりがなつきのマンガ、ゲーム、アニメ。好きなことと結びついた言葉は残りますが、宿題と結びついた言葉は残りません。
家族みんなで日本語を育てるには
継承語としての日本語が消えていくのは、たいてい静かなかたちでです。もう一人の親が日本語を話さないから、あるいは子どもが現地の言葉で返事をするからという理由で、日本語を話す親が現地の言葉に切り替えてしまうのです。
- 家庭の日本語を守る。 現地の言葉は学校が育ててくれます。日本語が話されるのは家庭だけ。家庭が日本語をあきらめれば、言葉は失われてしまいます。
- 日本語で話しかけ続ける。 継承日本語の子どもの多くは、日本語を理解していても現地の言葉で返事をします。それでも日本語で話し続け、ちょっとした場面で日本語に誘ってみましょう(「日本語で言ってみようか?」)。理解する力は、話す力が育つ土台です。
- 混ざっても心配しない。 バイリンガルの子どもは何年も言葉を混ぜながら、時間をかけて整理していきます。混ざるのは学びの一段階で、混乱ではありません。
- 家族みんなの日本語習慣をひとつ作る。 夕食は日本語で、寝る前は日本語の絵本、車の中では日本語の歌。日本語を話さない親も、いくつかの言葉で参加できます。大切なのは、家の中で日本語が「ふつう」であることです。
週末の日本語学校(補習授業校)
日本国外の多くの都市には、主に土曜日に、日本の学校のカリキュラムの一部に沿って授業を行う補習授業校(補習校)があります。日本への帰国を予定している家庭や、日本にルーツを持つ家庭のための学校で、どんなアプリにも与えられないもの、つまり日本語を話すほかの子どもたちと出会える場をお子さまに与えてくれます。
近くにあれば、5〜6歳ごろから検討してみる価値があります。ただし、家庭での毎日の日本語の代わりではなく、補うものと考えましょう。土曜日の数時間では、毎日の15分の代わりにはなりません。
お子さまの将来と日本語
100万人を超える日本人が海外で暮らしており、ブラジルやアメリカなどには日系の大きなコミュニティがあります。お子さまに日本の家族がいるなら、日本語は祖父母やいとこ、そしてひとつの文化全体へとつながる架け橋です。
また日本語は、アニメやマンガ、ゲームをきっかけに、多くの子どもが自分から学びたがる言語でもあります。早く始めた子どもは、その興味がいちばん強い時期に日本語を使うことができます。
日本に引っ越してきたばかりの家族は?
日本語がわからないまま日本の学校に通い始める場合、最初はしばらく口数が少なくなることを覚悟しておきましょう。多くの子どもは最初の数か月、聞いて吸収しながら、ほとんど話しません。これが沈黙期で、ごく自然で健全なことです。年齢が低い子どもほど、たいてい早くなじみます。
家庭での役目は、学校の代わりをすることではありません。次のことです。
- ストレスを減らす。 家を、日本語を練習する場所であると同時に、日本語から離れてひと休みできる場所にしましょう。
- 生きるためのフレーズを先に伝えておく。 「〇〇です」(自己紹介)、「トイレに行ってもいいですか?」、「わかりません」、「いっしょにあそぼう」。30のフレーズがあれば、最初の1か月を乗り切れます。
- 人前ではないところで練習する。 クラスメートに聞かれる心配なく日本語を話せる声で学ぶアプリは、何よりも早く自信を育ててくれます。
おすすめのツール
- Voiczy:3〜14歳の子どものための、声で学ぶ日本語。絵で覚える単語、音声つきのお話、レオとあせらず話す練習で、1日数分から続けられます。親が親のために作りました。Voiczyの日本語のしくみを見る。
- 地域の図書館や日本文化センター。 日本語の絵本をそろえていたり、家族向けのイベントを開いていたりするところがたくさんあります。
- 日本の子ども向け番組や童謡。 アンパンマンやNHKの子ども向け番組など、日本語を母語とする小さな子のために作られた番組は、ある程度日本語がわかる子どもにちょうどいいレベルです。
- 日本語を話す親戚とのビデオ通話。 いちばん安くて、いちばん力のあるツールです。週20分のおばあちゃんとのおしゃべりは、どんな有料アプリよりも価値があります。
よくある質問
自分が日本語を話せなくても、子どもに日本語を教えられますか?
流暢に話せる必要はありません。必要なのは、習慣を守る役になることです。毎日の日本語の時間を1つ決め、声で学ぶアプリや日本語の音声を使って、その時間を守りましょう。先生役はアプリや音声。あなたは「続ける」ことを守る係です。
日本語を教え始めるのに最適な年齢は?
早いほうが楽ですが、待つより今始めるほうが必ず良いのです。1年間毎日練習する6歳の子は、週に1回しか練習しない3歳の子を追い越します。完璧なスタートを待つのではなく、これからの365日を計画しましょう。
ひらがな、カタカナ、漢字のどれから覚えるべきですか?
ひらがな、カタカナ、そして漢字を少しずつ。日本の子どもと同じ順番です。そして、そのどれよりも先に来るのが話すことです。耳で言葉を知っていれば、読むのはずっと楽になります。
子どもが日本語を話せるようになるまで、どれくらいかかりますか?
日本で暮らす子どもは、たいてい1年目のうちに日常会話ができるようになり、学校レベルの日本語には数年かかります。海外で毎日練習している子どもなら、1年ほどで簡単な文を自信を持って話せるようになるでしょう。理解はいつも話す力より先に来ます。長いあいだ、お子さまは話せることよりずっと多くのことを理解しているはずです。
子どもの日本語の間違いは直したほうがいいですか?
直すのではなく、言い直してあげましょう。助詞や動詞の形を間違えたら、誤りを指摘せずに、返事の中で正しい文を言ってあげます。その場で直されると子どもは黙ってしまいますが、言い直しなら話し続けてくれます。
子どもが日本語ではなく英語で返事をします。もう手遅れでしょうか?
いいえ。継承日本語の家庭ではとてもよくあることで、終わりではなく一つの段階です。日本語で話し続け、日本語だけで過ごす習慣を1つ加え、お子さまが日本語を必要とする機会を作りましょう。祖父母との通話、日本人の友だち、旅行など。子どもは、その言葉が自分にとって役に立つとわかったときに話し始めます。
子どもの日本語の道のりは一人ひとり違います。数か月で話し始める子もいれば、1年かかる子もいます。最終的に子どもが日本語を話せるようになった家族には、共通点がひとつあります。毎日の暮らしの中に、日本語をずっと置き続けたことです。
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